無敗のままリングを降りるのは誰だ!「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.22」観戦レポート!
中野幹士、宮田彪我、嶋田淳也らが登場する「WHO'S NEXT Vol.22」をレポートする!
6月1日開催のボクシング「第17回WHO'S NEXT」では、メインイベントでOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチ「坂晃典VS波田大和」が行われた。
“令和の激闘王”坂晃典と“令和のノックアウトダイナマイト”波田大和の対戦は、予想通りエキサイティングな試合に!年間最高試合の候補にもなりそうな、今シーズン屈指のベストバウトは、絶対に見逃し厳禁!今すぐチェック!
セミファイナルのWBOアジアパシフィックフェザー級タイトルマッチに出場する全勝王者の藤田健児、そして全勝ホープ嶋田淳也にも注目!
本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者の坂晃典は、WBOアジアパシフィックでは15位、WBCでは31位にランクイン。またフェザー級とスーパーフェザー級で日本王者に輝いた経験もある、激闘型ボクサーファイター。元世界チャンピオン伊藤雅雪とも対戦経験のあるベテランが、スーパーフェザー級第一人者としてのプライドとスキルを持って、乱打戦に巻き込みたい。
挑戦者、波田大和は、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級2位、WBOアジアパシフィック6位、日本1位。那須川天心選手と強化合宿するなど、帝拳ジム次世代ホープの一人。左の強打でKOの山を築いてきたサウスポーで、実に14勝のうち13勝がKOというハードパンチャー。高いKO率からパワーで押し込むファイトスタイルを想像するが、実際はスピードとタイミングで急所を打ち抜くKOアーティスト。
どっちが勝ってもKO決着必至の黄金カードは、初回から独特の緊張感の中でゴングが鳴る!1回、先にプレスをかけ前に出たのは坂。上体を低く構え、ジャブからの右ストレートを2発、3発と打ち込む。そんな坂を誘いこむように、波田は下がりながらも右フックで応戦。そのパンチは空を切るが、キレとタイミングには調子の良さを感じさせる。そして波田は、左ボディストレートから左ストレートを打ち込み、坂の顔面を跳ね上げる。しかし坂は、慌てずにガードを固めワンツーを出しながら前に出続ける。頭を付けての打ち合いの中で、波田のコンパクトな右フックがヒットするも、坂は怯まずプレッシャーは弱めない。
2回、坂はジャブ、ワンツーでじりじりと距離を詰めるが、波田は坂の右リードジャブの引き際に左ストレートを狙う。まだ当たりは浅いが、一発の破壊力で勝るのは波田。コツコツとパンチをヒットさせ、坂にダメージを与えていく。しかし坂は、数々の激戦を経験してきた激闘王!いたって冷静に見える。苦戦は織り込み済みか。
そして3回、ギアを上げた波田は、この試合で初めて先手を取り攻勢を強めるが、坂も右ストレートを返し流れは渡さない。しかし、リング中央での接近戦で、波田のショート右フックが坂のアゴを打ち抜くと、坂は大きくバランスを崩し前のめりに倒れかかる。必至にクリンチしようとする坂を振りほどいて、波田は追撃の左ストレートを打ち込むと、坂はロープまで弾き飛ばされる!これを見たレフェリーは、ロープダウンを宣告、波田は最初のダウンを奪った。再開後、波田は右アッパー、左右フックをコンパクトに打ち抜き、再び強い左ストレートで坂をロープに飛ばすと、上下の連打をまとめたところでレフェリーストップ!波田がTKOで王座を奪取した!
坂晃典選手、ここ数年は本当に強豪との激闘の連続で、まさに“令和の激闘王”と呼ぶに相応しい選手。TKOで敗れはしたが、最後までリングに立ち続けた姿は“ラオウ”のようだった!
波田大和選手、ついにタイトルを獲得しチャンピオンの仲間入り!しかも15勝のうち14勝がKO勝利という“怪物”のようなレコードを更新。“令和のノックアウトダイナマイト”波田選手こそ、次の世界チャンプ、次のスターだ!
WBOアジアパシフィックフェザー級王者の藤田健児は、OPBFでは4位、WBO14位、WBC27位にランクされる左ボクサーファイター。アジア選手権、世界選手権など通算10冠獲得したアマチュアエリートで、プロ転向後もサウスポーから繰り出す左カウンター、ポジションを変えての右アッパー、コンビネーションの当て勘の良さで6戦全勝。今年1月に獲得したタイトルの初防衛戦のリングに上がる。
ロデックス・ピアラは、WBOアジアパシフィックフェザー級3位。10戦全勝中KOは1つだが、サウスポーの放つ右リードジャブに合わせる左フックのカウンターは驚異。接近戦でのショートアッパー、左ボディなど多彩な攻撃パターンを持ち、KO率では計ることができない、油断の出来ない挑戦者。
1回、藤田は左ボディストレートを突き、常にプレッシャーを与え続ける。2回、藤田がステップインした際、ピアラと偶然のバッティング、数分間の休憩が与えられた。しかし再開後、藤田の左フックでピアラが思わずキャンバスに手を付くと、レフェリーはダウンを宣言する。かすったようなパンチだがダウンを取られても仕方ないケースだ。3回、4回、藤田は上体の柔らかいピアラのボディを叩く。左ボディでピアラのガードを下げさせ、右フックや左ストレートでバランスを崩させる。しかし5回、藤田はピアラの右ストレートを被弾し、今度は藤田がグラつく。すると6回、7回、藤田は冷静にボディからの攻撃で立て直し、主導権を支配した。8回、ピアラは右オーバーハンドを強振、藤田もブロックするが拮抗したラウンド。9回、ピアラは右フックで藤田を攻め込むが、偶然のバッティングで左目上をカット。10回、ピアラは攻勢を強めるが、藤田は右一本で応戦。明らかに左腕にトラブルを起こしたように見える。藤田としては、残りのラウンドを捨ててでもKO負けを回避し、前半の貯金で判定勝利に持ち込みたい危機的状況。11回、ピアラは雄叫びを上げながら右フックを強振し、藤田に襲いかかる。今となっては、とてもKO率10%の選手には見えない。藤田は右ジャブで応戦するが防戦一方。そして最終12回、藤田は完全に逃げ切り体制に入り、ピアラの強振をかわし続けて試合は終了した。スリリングな試合の判定は3-0、藤田は初防衛に成功した。
藤田健児選手、試合後のインタビューで8回に左腕を負傷した事を明かした。本人としては消化不良の試合だったと思うが、試合中に大きなトラブルを抱えた中で、冷静に対応し勝利に繋げた経験は、大きな財産になったのでは。まずは治療に専念し、心身のリカバリーに努めてもらいたい。それにしても、藤田選手の腕を破壊したピアラ選手のパンチは、少しも油断できなかった。
嶋田淳也は、WBOアジアパシフィックフェザー級2位、日本12位。アマ戦績81戦58勝23敗で、2年連続で国体3位の実績を持つアマチュア・エリート。ボクシングの教科書から飛び出してきたかのような美しいフォームが特徴的な技巧派ボクサー。アゴを引き高いガードから正確無比な鋭いジャブで試合をコントロールし、これまで全勝。
廣瀬祐也は、日本フェザー級14位、2022年東日本新人王。一般企業で営業マンとして働きながら、プロボクサーとして二足の草鞋を履くビジネスマンボクサー。スピードある右リードジャブで中間距離を支配し、カウンターを狙う技巧派サウスポー。
お互いに技巧派同士の一戦は1回、シャープなジャブが飛び交う激しい主導権争いに。そんな中、嶋田の右ボディストレートが有効か。2回、プレッシャーを強めた嶋田の右ストレートがヒットするも互角の展開。3回、嶋田の右ストレートとプレスは続くが、廣瀬も打ち返す。4回、嶋田の左ボディ、右ストレートに対し、廣瀬は左ストレートを返し流れを渡さない。5回、嶋田はゴングと同時にペースアップすると、これまで出していなかった右アッパー、いきなりの右ストレートで廣瀬を倒しにかかる。しかし6回、廣瀬は逆にプレッシャーをかけ返し、左ストレートをヒット!相打ち覚悟の打ち合いの中でも廣瀬の勢いが勝った印象。7回、廣瀬の左ボディ、右アッパーが、嶋田の固いガードを破り打撃戦に!流れが廣瀬に変わったように見えたラウンド。そして迎えた最終8回、嶋田はこれまで以上に手数を増やし右ストレートを打ち込むも、廣瀬も迎え打ち、両者一歩も引かぬまま試合終了。試合は判定に委ねられた。結果は三者三様で1-1のドロー。激闘に決着は付かなかった。
嶋田淳也選手、精密機械のような正確無比なボクシング技術で、これまで対戦相手につけ入る隙を与えてこなかったが、ここは7連勝ならず。しかし、学ぶことも多かった試合。次戦での巻き返しを期待する。
廣瀬祐也選手、序盤から嶋田選手の高度テクニックと渡り合い、終盤は逆に試合を支配した。ハイレベルな技術戦の中で、廣瀬選手の良いところが全て出たような試合。これは、勝利に等しいドローだ!
近内拓也は、大学在学中から俳優活動を始め、舞台、映像、広告などで活動。24歳の時に俳優業と並行してボクシングに本格的に取り組みプロライセンスを獲得し、2013年3月プロデビュー。1勝1敗の戦績を残しボクシングから遠ざかっていたが、11年ぶりに後楽園ホールのリングに立つ。
金子佳樹は、2023年11月プロデビュー。祖父は、初代金子ジム会長で元東洋太平洋王者の金子繁治氏。デビューから2戦連続1回KO勝利中の右ボクサーファイター。伯父である健太郎会長、父である賢司トレーナーの指導の下、金子ジムの“隠し玉”として日本チャンピオンを目指す。まずは、右の強打でKO勝利を続けて、東日本新人王を掴み取りたい。
試合は1回、長身の近内がアウトボクシングを展開する。長いリーチを活かし、ロングレンジの左ボディ、打ち下ろす右ストレートで金子を突き放す。金子は非常に戦い難い様子。
2回、金子は勇気を持って距離を詰めると、近内の左リードパンチの打ち終わりに思いっきり右クロスを振るう。それがカウンターとなりヒットすると、その右クロスを連打!近内をバタつかせる。しかし近内は、下がることなく打ち合いに応じハートの強さを感じさせる。金子は攻撃の手を休めることなく、得意の右ストレートで近内をグラつかせ、左ボディで腰を折るとロープに詰めて連打!それでも打ち返す近内に、金子の右フックがカウンターで当たると、近内の巨体が崩れ落ちた。レフェリーは即座に試合をストップした。
近内拓也選手、11年ぶりのリングだったが、長いリーチから放たれるパンチには全て闘志が込められていた!気持ちの強さ、勝利への執念に圧倒された!
金子佳樹選手、まるで豪速球を投げ込むような右クロスは、大学まで野球で鍛え上げられた強いフィジカルの賜物。歴史ある金子ジムの後継者として、更なる高みを目指す!
菅谷翔太は、2022年4月プロデビュー。回転力のある連打が持ち味の右ボクサーファイター。昨年はフェザー級で東日本新人王トーナメントにエントリーするも棄権。今年はスーパーバンタム級で無念をはらす。独特な軌道で伸びてくる右ストレートをきっかけに、打撃戦に持ち込みたい。
対する八谷洋平は、2024年4月プロデビュー。フットワークのあるサウスポーのボクサーファイター。前後の出入り、サイドに回るステップワークで、動く標的となり的を絞らせない一方で、アングルのあるパンチをカウンターで打ち込む。右リードジャブ、右フックで主導権を握りたい。
1回、サウスポーの八谷は得意のフットワークを使い、下がりながらもジャブ、ワンツーでリズムを作る。菅谷は距離を詰めていくが、不用意に接近した瞬間に八谷の左フックがヒットしダウン!打ち気の菅谷の出鼻をくじく。2回、ダウンを奪われた菅谷はプレッシャーを強め強引に攻め込むが、そこに八谷のコンパクトな左フックがカウンターとなりヒット。菅谷は堪らず膝をつき2度目のダウンを喫する。しかし、八谷はパンチの勢い止まらず、膝立ち状態の菅谷に右フックの反則打を打ってしまい、ダウンを奪うも減点1を取られる。充分な休憩後、試合は再開され、菅谷はダウンのダメージを感じさせない猛攻で八谷をコーナーに詰めて連打。八谷も左目上をカットしたが、右フックで応戦した。3回、両者は激しい打ち合いに。菅谷の連打で八谷は鼻血を流すが、下がりながらもカウンターを合わせる。最終4回、ダウンを2度奪われている菅谷は、逆転KOを狙い豊富な手数で猛攻を仕掛け、八谷をダウン寸前まで追い込むが、試合終了のゴングを聞いた。
判定は、0-3で八谷が勝利!序盤に奪った2度のダウンのリードを守り切った。
菅谷翔太選手、あと1ラウンドあったら勝てたかも知れない試合。ダメージを感じさせない攻撃力は魅力的だ。
八谷洋平選手、35歳という年齢ながら激闘を勝ち抜き、新人王戦の駒を進めた。中間距離から放つ、サウスポーの左フックが有効だった試合。トーナメント次戦でも炸裂させたい。
8R/113ポンド契約
ジョアリ モスケダ(メ)vs エルディン ギナホン(比)
※モスケダ棄権、試合中止
上半期最大の黄金カード、坂晃典VS波田大和の一戦は、挑戦者の波田選手が爆発的破壊力を見せつけ、圧巻の3回TKOで王座奪取!スーパーフェザー級のニュースターに躍り出た!
もともとこの階級は、4強による戦国時代。波田大和、坂晃典、奈良井翼、原優奈がリーグ戦のごとく対戦しあい三すくみのような状態だった。しかし今回、原選手に敗戦している波田選手が坂選手にKO勝利したことで、4月に原選手をKOしている奈良井選手との初対戦が楽しみになってきた!“OPBF王者”波田VS“日本王者”奈良井!これは、天下分け目の大決戦になること間違いなし!
そして、帝拳フェザー級花の4人組、言わば“F4”の藤田健司選手と嶋田淳也選手は、これまで全勝でキャリアを積んできたが、対戦相手のレベルも上がり苦戦を強いられた。特に藤田選手の左腕の負傷が心配。また、嶋田選手はキャリア初のドロー。残念ながら全勝記録は途絶えたが未だ無敗、今後の巻き返しに期待する!
これからは藤田健児選手と嶋田淳也選手はもちろん、中野幹人選手、金子虎旦選手を含めた“F4”の活躍にも注目して欲しい。
次回6月23日の『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.18 』は、WBOアジアパシフィックミニマム級タイトルマッチ「小林豪己VSジョセフ・スマボン」をエディオンアリーナ第二競技場からライブ配信!お楽しみに!
U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.17』を2024年7月1日まで配信中!
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