常軌を逸した医師が登場する映画3選
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常軌を逸した医師が登場する映画3選

2024.07.29 18:00

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  • ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-
  • キングダム エクソダス<脱出>
  • モービウス

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手術の技術は天才的だが、手術をするには掛け金として財産の半分を要求したり、患者に危険なオペを施して巨額の費用を要求したりする、医師だが“ディアブル(悪魔)”と呼ばれる天城雪彦。そんな常軌を逸した医師を二宮和也が演じている注目作『ブラックペアン シーズン2』。天城の動向から目が離せないが、実際に彼のような医師がいたら、よほどのことがない限り、患者や同僚として近づきたくはないと思ってしまう。あくまでもドラマ、エンタメの世界として作品を楽しみたい。今回は、驚くべき医師を描く「常軌を逸した医師が登場する映画」を紹介しよう。

『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-
©2020「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」製作委員会

130人もの患者を安楽死させた実在の医師をモデルに描いた、中山七里の小説を映画化した禁断のクライム・サスペンス。綾野剛と北川景子が、警視庁捜査一課No.1のコンビ、破天荒な直感型の刑事・犬養隼人と、犬養の後輩にして冷静沈着な分析型の刑事・高千穂明日香を熱演している。

闇サイトで依頼を受け、人を安楽死させる連続殺人犯“ドクター・デス”。「お父さんが殺された」という少年からの通報がきっかけとなり、犬養と高千穂が捜査を開始すると、似たような事件が次々と浮上する。ところが、被害者遺族たちの証言は、どれも犯人を擁護するものばかりで、捜査は難航。ドクター・デスは本当に猟奇殺人犯なのか? それとも救いの神なのか……?

いくら患者を苦しみから救う行為であっても、130人も死なせるというのは、やはり常軌を逸していると言わざるを得ない。『さよならドビュッシー』で、「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した、中山七里による原作は秀逸なミステリーで、映画も驚きの展開が待ち受ける。

優秀な刑事コンビの活躍を楽しみながら、2人が対峙するドクター・デスの正体を予想しつつ、「こんな医師を描いた作品もあったのか!」と満足していただけたら何よりだ。

『キングダム エクソダス<脱出>』

キングダム エクソダス<脱出>
©2022 VIAPLAY GROUP, DR & ZENTROPA ENTERTAINMENTS2 APS

ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『メランコリア』などで知られるデンマークの映画監督、ラース・フォン・トリアーが1990年代に手掛けたTVドラマシリーズ『キングダム』。デンマークの架空の病院を舞台に、狂気的で荒唐無稽な登場人物たちの行動を描き、本国で最高視聴率50%越えを記録し、社会現象を巻き起こした。日本でも大ヒットし、米国ではスティーヴン・キングがリメイク版『キングダム・ホスピタル』を製作。『キングダム』は、デヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』と並んで、世界中に多くの熱狂的なファンを生んだ傑作ホラーシリーズとなった。

だが、主演俳優のエルンスト・フーゴ・イエアゴーをはじめ、出演者が複数亡くなったために、シーズン2で製作は中止され、未完のままとなっていた。その『キングダム』の最終章『キングダム エクソダス<脱出>』が、25年の時を経て世に送り出され、5時間以上のエピソードを繋いだ映画作品として公開された。

コペンハーゲンの巨大病院“キングダム”の医師たちは、スウェーデンから赴任してきた脳神経外科医の歓迎の儀式として、勤務時間中に酒を一気飲みさせたり、夢遊病の患者の頭にいきなり電極を埋め込んだり、常軌を逸しているどころではない、とんでもない人たちばかり。

院内で恐ろしい怪奇事件が起きている一方、コメディ要素も多く、マッツ・ミケルセンの兄ラース・ミケルセンや、ウィレム・デフォー、アレクサンダー・スカルスガルドら人気俳優たちが大真面目にふざけていて、大いに楽しめる。5時間たっぷり『キングダム』ワールドを堪能したら、シーズン1と2をまとめた映画作品を観るのもおすすめだ。

『モービウス』

モービウス
2022 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2022 MARVEL

マーベル・コミックに登場するダークヒーローで、スパイダーマンの宿敵として描かれているヴィラン“モービウス”を主人公にしたアクション・アドベンチャー・ホラー。主演は、『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー賞・助演男優賞を受賞したジャレッド・レトー。

天才医師マイケル・モービウス(レトー)は、幼い頃から血液の難病を患っていた。同じ病に苦しみ、兄弟のように育った親友マイロ(マット・スミス)のためにも治療法を見つけ出そうと奔走するモービウスは、コウモリの血清を自分に投与するという危険な方法を試す。すると、超人的な筋力、スピード、飛行力に加え、周囲の状況を感知するレーダー能力まで得るという、驚くべき変化を遂げるモービウス。だが、その代償として得たのが、抑えきれない“血への渇望”だった……。

患者想いの素晴らしい医師だったモービウスが、難病の治療のためにコウモリを研究する姿は“マッドサイエンティスト”のようで、どんどん常軌を逸していく様子は、目を背けたくなるほど恐ろしい。救世主のような医師としての良心と、血に飢えた怪物のような本能の狭間で葛藤する主人公を、レトーが見事に演じ切っている。


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