今年は『SHOGUN 将軍』祭りだった第76回エミー賞。その他の受賞作や候補作も要チェック!
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今年は『SHOGUN 将軍』祭りだった第76回エミー賞。その他の受賞作や候補作も要チェック!

2024.09.16 17:00

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  • 76th エミー賞_真田広之_03
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  • ギルデッド・エイジ -ニューヨーク黄金時代- シーズン2
  • ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-
  • ラリーのミッドライフ☆クライシス シーズン12

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テレビ界のアカデミー賞と呼ばれるエミー賞。アメリカのテレビ業界で功績を残した番組や、そのキャスト・スタッフに与えられる賞で、授賞式も毎年華々しく開催される。9月16日(日本時間)にロサンゼルスで行われた、本年度・第76回エミー賞授賞式は、レッドカーペットの様子とあわせて、本国と同時にU-NEXTにて独占ライブ配信された。その模様を振り返ってみよう。

『SHOGUN 将軍』が主要賞を席巻

授賞式に先駆けて、9月8日(日本時間)に、技術系や美術系といった、主に制作に携わった人々に贈られる一部の賞「クリエイティブ・アーツ・エミー賞」が発表されたが、最多25ノミネートの『SHOGUN 将軍』が14部門で受賞を果たした。そして、16日の授賞式でも、ドラマシリーズ部門・作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(アンナ・サワイ)、監督賞(フレデリック・E・O・トーイ)に輝き、「クリエイティブ・アーツ・エミー賞」とあわせて、歴代最多の18冠という快挙を成し遂げた。日本人として、非常に誇らしい気持ちだ。

76th エミー賞_真田広之_03

授賞式で、真田広之は主演俳優、そしてプロデューサーとして登壇し、英語でスピーチした後に、日本語で「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は、海を渡り国境を超えました。本当にありがとうございました」とスピーチし、会場を沸かせた。とても感動的だった。

76th エミー賞_真田広之_02

『SHOGUN 将軍』作品紹介

真田広之がプロデューサーと主演を務める、将軍の座を懸けた陰謀と策略が渦巻く、ハリウッド発、戦国スペクタクル・ドラマシリーズ。徳川家康ら、歴史上の人物にインスパイアされたキャラクターが登場し、「関ヶ原の戦い」目前の物語が綴られる。窮地に立たされた戦国一の武将<虎永>と、その家臣となった英国人航海士<按針>、そして2人の運命の鍵を握る謎多きキリシタン<鞠子>。歴史の裏側で、どのような壮大な“謀り事”があったのか。待ち受ける“どんでん返し”から目が離せない。

ドラマ部門に夫婦そろってノミネート

ドラマシリーズ部門の作品賞や主演女優賞(キャリー・クーン)、助演女優賞(クリスティーン・バランスキー)にノミネートされた『ギルデッド・エイジ -ニューヨーク黄金時代-』は、『ダウントン・アビー』を生み出したジュリアン・フェロウズが手掛けるドラマ。惜しくも受賞は逃したが、実力派キャストの名演と、フェロウズならではの緻密なストーリー、そして豪華な衣装とセットなどが秀逸で、ノミネートに納得のシリーズだ。

授賞式でも、キャリーとクリスティーンの存在感と貫禄が光っており、今後も引き続きエミー賞の常連になりそうな予感。

当部門のゲスト男優賞にノミネートされたトレイシー・レッツは、前シーズンまで『ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-』のレギュラーキャストだったが、シーズン2ではゲストとして番組に出演。1エピソードのみの登場にもかかわらず、強烈なインパクトを残し、ゲスト男優賞へのノミネートを果たした。

ちなみに、トレイシーとキャリーは夫婦。2人そろってエミー賞にノミネートされるという、幸せな瞬間を目撃できたのも、今回の授賞式の見どころのひとつとなった。

『ギルデッド・エイジ -ニューヨーク黄金時代-』作品紹介

ギルデッド・エイジ -ニューヨーク黄金時代- シーズン2
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アカデミー賞とエミー賞に輝くジュリアン・フェロウズが、大ヒット作『ダウントン・アビー』に続いて手掛ける人気シリーズ。舞台は、経済が急速に発展をとげた1880年代のアメリカ。父の死後、ニューヨークで暮らす裕福な叔母のもとに身を寄せるマリアンは、保守的な上流階級の叔母と、鉄道王として巨万の富を築いた隣人・ラッセル夫妻の間の争いに巻き込まれていく。キャリー・クーンとクリスティーン・バランスキーは、どちらも我が強いキャラクターを快演していて、観ていて気持ちが良い。

『ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-』作品紹介

ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-
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1980年代を舞台に、北米の男子プロバスケットボールリーグ、通称「NBA」の「ロサンゼルス・レイカーズ」が黄金期を築いていく過程を、“ショータイム”と呼ばれた時代の裏話を含め、バスケットコートの内外からドラマチックに描くスポーツ伝記。スパースター、マジック・ジョンソンの言動などを詳細に描出している。トレイシー・レッツは、“ショータイム”時代のバスケットボール界の陰の立役者、ジャック・マッキニー役。

コメディ部門は日本未上陸作品が受賞

コメディ部門の作品賞は、日本未上陸の『Hacks(原題)』が受賞。本作は主演女優賞(ジーン・スマート)と脚本賞(ルチア・アニエッロ、ポール・W・ダウンズ、ジェン・スタツキー)にも輝いた。

23ノミネートを獲得した『一流シェフのファミリーレストラン』は、昨年に続き好調で、コメディシリーズ部門・主演男優賞(ジェレミー・アレン・ホワイト)、助演男優賞(エボン・モス=バクラック)、助演女優賞(ライザ・コロン=ザヤス)などを受賞。スピーチでは、ジェレミーが「この番組は僕の人生を変えました。自分を変えることは可能なんだと教えてくれましたし、世の中、自分一人ではないんだと教えてくれました」と語り、感動が伝わってきた。

一方、フィナーレを迎えた『ラリーのミッドライフ☆クライシス』は、当部門の作品賞と主演男優賞(ラリー・デヴィッド)にノミネートされたものの、残念ながら有終の美を飾ることは叶わなかったが、唯一無二の面白い“モキュメンタリー”番組なので、この機会にぜひチェックしてみてほしい。気分が上がること請け合いだ。

『一流シェフのファミリーレストラン』作品紹介

超一流レストランでのシェフ経験を持つ主人公カーミーが、亡き兄の遺したシカゴのサンドイッチ店の立て直しに奮闘。一筋縄ではいかないスタッフや家族との関係をはじめ、さまざまな問題が山積みの中、カーミーはレストランのリニューアルオープンに向けて奔走し、自分自身も見つめ直していく。個性的な登場人物たちのヒリヒリするような会話や自己主張、少しずつ成長していく様子の描出が秀逸だ。

『ラリーのミッドライフ☆クライシス』作品紹介

ラリーのミッドライフ☆クライシス シーズン12
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ビデオカメラがラリーの生活を追う“モキュメンタリー”という手法を採用した人気シリーズ。ほとんどのセリフはキャストによるアドリブで、リハーサルはせず、時系列通りにオールロケでの撮影を敢行している。しょっちゅうピンチに見舞われるラリーだが、すんでのところでうまく回避。どこまでがフェイクなのか、見分けがつかないところが面白く、大笑いしてしまう。シーズン12で最終回を迎えたが、滅多に出会えない魅力を持った必見コメディだ。

オスカー俳優も受賞したリミテッド部門

リミテッド/アンソロジーシリーズ部門は、『私のトナカイちゃん』が作品賞と脚本賞(リチャード・ガッド)、主演男優賞(リチャード・ガッド)、助演女優賞(ジェシカ・ガニング)などを受賞したが、作品賞候補の『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』や『FARGO/ファーゴ』なども有力視されていた。

『私のトナカイちゃん』の企画・製作総指揮・脚本・主演を務めるリチャードは、「本作は、苦しい時期を過ごしているみなさんへのエールでもあります。悪い時はずっと続くわけではないので、頑張って前に進んでほしいです」とスピーチ。ストーカー被害を経験した彼からの真摯なメッセージが発信され、拍手が巻き起こった。

当部門には、オスカー俳優のジョディ・フォスターが『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』で主演女優賞に、同じくオスカー俳優のロバート・ダウニー・Jrが『シンパサイザー』で助演男優賞にノミネートされたことでも話題を呼んだ。どちらも、目を見張る熱演ぶりで視聴者を惹き付けており、ジョディは今回のエミー賞でも栄冠に輝いた。

ちなみに、今年はコメディ部門・助演女優賞にメリル・ストリープ(『マーダーズ・イン・ビルディング』)、ドラマ部門・主演男優賞にゲイリー・オールドマン(『窓際のスパイ』)、ドラマ部門・主演女優賞にリース・ウィザースプーン(『ザ・モーニングショー』)、コメディ部門・ゲスト女優賞にジェイミー・リー・カーティスがノミネートされるなど、オスカー俳優が多数顔をそろえたのも、ハイライトの一つと言えるだろう(ジェイミーは受賞も果たしている)。


『私のトナカイちゃん』作品紹介

企画・製作総指揮・脚本・主演のリチャード・ガッドの実体験を基に、ストーカーをテーマにしたミニシリーズ。主人公のドニーをリチャード本人が演じている。ロンドンのパブで働いている売れない芸人のドニー。ある日、彼はカウンターでうなだれている中年の女性客を不憫に思い、紅茶を1杯おごると、マーサと名乗る彼女は店に通い始め、ドニーを「私のトナカイちゃん」と呼んで執着するようになっていく。助演女優賞を受賞したマーサ役のジェシカ・ガニングに加え、ドニーが親しくなるテリー役のナヴァ・マウも同賞にノミネートされた。

『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』作品紹介

トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー
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これまでエミー賞5冠に輝き、犯罪ドラマ史上屈指の傑作と絶賛されたアンソロジーシリーズのシーズン4。製作総指揮に名を連ねるジョディ・フォスターと、元プロボクシング世界3団体統一王者のカーリー・レイスがW主演を務める。アラスカを舞台に、科学研究所に勤める8人の男性が忽然と姿を消した事件を、リズ・ダンヴァース署長(フォスター)とエヴァンジェリン・ナヴァロ刑事(レイス)が捜査する。過去の事件から確執のある2人が、それぞれが抱える闇に向き合いながら、氷の下に埋もれた、呪われた真実を掘り起こすのが見どころ。作品賞はもちろん、ジョディ・フォスターが主演女優賞、カーリー・レイスは助演女優賞、ハンク・プライアを演じたジョン・ホークスは助演男優賞にノミネートされた。



『シンパサイザー』作品紹介

シンパサイザー_場面01
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ピュリッツァー賞を受賞したヴィエト・タン・ウェンによる原作を、『JSA』『オールド・ボーイ』などで知られる韓国の映画監督、パク・チャヌクが企画・製作総指揮・監督を務めてドラマ化した、スパイの視点でベトナム戦争を描く新感覚スリラー。ベトナム戦争末期の1970年代、フランス人を父に、ベトナム人を母に持つ“大尉”はアメリカに渡り、二重スパイとして暗躍する。助演男優賞にノミネートされたロバート・ダウニー・Jrが、CIA工作員、教授、国会議員、映画監督という4つのキャラクターを見事に怪演しているのが見ものだ。


心を打った理事会賞

最も筆者の心を打ったのは、『ドーソンズ・クリーク』や『ブラザーズ&シスターズ』、 『ARROW/アロー』などのドラマを生み出したヒットメーカーのグレッグ・バーランティが理事会賞を受賞したシーン。グレッグはドラマで初めてゲイカップルのキスシーンを描き、ゲイカップルの結婚式シーン、そしてクィアのヒーローを誕生さた。その素晴らしい功績に賞が与えられたのだ。

マット・ボマーとジョシュア・ジャクソンがプレゼンターを務め、賞を授与したのも感動的で、グレッグによる数々の作品を楽しみながら、海外ドラマライターの仕事をしてきた筆者にとっては、この上ないほど心に響くエミー賞の一場面となった。

『SHOGUN 将軍』の受賞含め、さまざまな名シーンが誕生した第76回エミー賞。U-NEXTでは、9月23日(月)23:59まで見逃し配信され、レッドカーペットと授賞式の字幕版は9月20日(土)配信開始予定。感動の名場面を何度でも楽しみたい!

『SHOGUN 将軍』で再注目の俳優・真田広之の厳選10作品はこちら

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